女装で気づいた、本当の自分の輪郭

正直、自分が女装をするようになるなんて、昔の自分には想像もつかなかったと思います。
でも今は、メイクをして、服を選んで、ウィッグをかぶって鏡を見るその瞬間が、
人生の中でいちばん「素直な自分」に近づける時間かもしれません。

私はこれまで、男として生きてきました。
明るく振る舞い、人を笑わせ、ムードメーカーとして周囲と関わってきました。
けれど、心のどこかでずっと「本当の自分は違う気がする」と思っていました。

社会人になってからは、その違和感に気づく余裕すらなくなっていました。
無理を重ねて、気づけばうつ病になり、心も体もすり減っていたのだと思います。

そんなとき、軽い気持ちで女装を始めました。
最初はただの興味でした。でも――
服の裏地のつるつるとした感覚。
メイクで少しずつ表情が変わっていく感覚。
それが、自分にとってすごく心地よかったのです。

驚いたのは、鏡に映る自分を「嫌いじゃない」と思えたことでした。

それまでの私は、ずっと“こうあるべき”に縛られていました。
「男らしく」「社会人らしく」「父親らしく」
そういう言葉が、自分を押しつぶしていたんだと思います。

でも女装している自分には、誰もそんな“らしさ”を求めてきません。
ただ、“自分がどう感じているか”だけを大切にしていい。
それが、初めての感覚でした。

もちろん、社会にはまだ偏見もあります。
「逃げてるだけ」「現実逃避だ」と言われたこともあります。
でも、私はそうは思いません。

私にとって女装とは、“自分を見つめ直すための手段”でした。
そしてそれは、自分にとって確かに救いだったのです。

今でも「これが自分の本質だ」と断言できるわけではありません。
ですが、はっきり言えることが一つあります。

女装しているときの私は、ちょっとだけ自分のことを好きでいられるのです。

それだけで、充分だと思っています。

投稿者について

ぽん助

名前:ぽん助

年齢:39歳

性別:Xジェンダーの不定性

家族構成:妻、子供二人と生活中。

職歴:食品営業5年、製薬会社10年勤務。現在個人事業主として実家で執筆中。

趣味:メイク、野球、カラオケ、旅行、カワイイ服を買う事

好きな歌手:B’z、スキマスイッチ

座右の銘:人生一回。死ぬ最後の時に後悔しない人生を歩む。

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