野球も女装も、ぜんぶ俺だ。
「え?野球やってるのに、女装もするの?」
よく言われる。たしかに、そう思う人の気持ちもわかる。
野球といえば汗、根性、泥。
女装といえばメイク、可愛さ、柔らかさ。
いわゆる“男っぽいもの”と“女っぽいもの”の代表格みたいに見えるかもしれない。
でも、俺からすればどっちもただ「好きなこと」だ。
真剣に投げてるときも、まつげを1本ずつ丁寧に整えてるときも、
どっちも自分らしくいられる瞬間だ。
そもそも、好きに「性別」っている?
俺が野球を始めたのは、単純にボールを遠くに投げられるのが気持ちよかったから。
俺が女装を始めたのは、キレイに変身できた自分を「すげえ」って思えたから。
そこに“男だからこう”“女だからこう”なんて理由、必要だった?
世の中はまだ、男がこれを好きだとおかしい、
女がそれをやるのは変わってる、っていう空気がある。
でもその空気に合わせて、自分の「好き」を切り捨てる必要なんてない。
誰かが驚くからって、自分の好きなことをしまいこむのは、もったいない。
矛盾じゃなくて、個性なんだ
俺は、野球をやって、150キロ目指して投げ込んで、
そのあとにウィッグ被ってリップを塗ってる。
「どっちが本当の自分?」って聞かれるけど、どっちも本物だ。
切り替えてるんじゃない。両方を同時に愛してる。
矛盾してるように見えて、それが俺の個性だ。
好きに境界線を引くのは、もう終わりにしよう
好きなものを好きだと言うのに、勇気が必要な世の中は息苦しい。
でも、そんな空気を壊すのは、俺たち一人ひとりの選択からだと思う。
男っぽいとか女っぽいとかじゃなく、「これが好きだ」って堂々と言える人が増えたら、
世界はもっと自由になる。
だから俺は今日も、全力で投げて、全力で可愛くなる。